絶対値を含む方程式 | 問題の意味と解き方【数学I】

この記事では、絶対値を含む方程式について書いています。

具体的には以下の\(\,3\,\)つの方程式を扱います。

\(|\,x\,|=2\)

\(|\,x+1\,|=2\)

\(|\,x+1\,|=2x\)

目次

|x|=2の解き方

まず、最も簡単な問題から考えます。

(問)1 次の方程式を解け。

\(|\,x\,|=2\)

式中の\(\,x\,\)が絶対値記号に囲まれているので、それを外すところからスタートします。

絶対値記号の外し方とは...

  • 絶対値記号の中身が(\(\,\color{blue}{0}\,\)以上)のときはそのまま外す
  • 絶対値記号の中身がのときはマイナスをつけて外す

でしたね。

なお、絶対値記号の外し方が不安な人は先にこちらの記事からチェックされることをおすすめします。

この記事では、絶対値記号の外し方について書いています。 中学数学の復習 まずは、中学数学の復習をしておきます。 ...

というわけで、絶対値記号の中身の正負で場合分けを行い、絶対値記号を外していきます。

\(\rm(\,i\,)\) \(x≧0\,\)のとき (絶対値記号の中身が\(\,0\,\)以上)

絶対値記号はそのまま外して...

\(\begin{eqnarray}|\,x\,|&=&2\\
x&=&2\end{eqnarray}\)

\(x=2\,\)は\(\,x≧0\,\)という条件を満たしているので、これは方程式の解となります。

\(\rm(\,ii\,)\) \(x<0\,\)のとき (絶対値記号の中身が負)

絶対値記号はマイナスをつけて外して...

\(\begin{eqnarray}|\,x\,|&=&2\\
-x&=&2\\
x&=&-2\end{eqnarray}\)

\(x=-2\,\)は\(\,x<0\,\)という条件を満たしているので、これも方程式の解となります。

\(\rm(\,i\,),\ (\,ii\,)\,\)を合わせて...

\(x=\pm2\,\)

実を言うと、絶対値を含む方程式にはもっとシンプルな解き方があります。

その解き方を示すために式の意味を今一度考えてみましょう。

そもそも、方程式を解くということは等式を満たす未知数の値を求めることでしたね。

ならば、この問題は「\(|\,x\,|=2\,\)という等式を満たす\(\,x\,\)の値とは何か?」と問われていると考えられます。

この等式を満たす\(\,x\,\)の値とは、絶対値が\(\,2\,\)である数、つまり、数直線上で原点\(\,{\rm \small O}\,\)からの距離が\(\,2\,\)である数のことです。

それは原点\(\,{\rm \small O}\,\)から正の方向に\(\,2\,\)進んだ「\(\,2\,\)」と、負の方向に\(\,2\,\)進んだ「\(\,-2\,\)」に他なりません。

合わせて、\(\pm2\,\)です。

よって...

\(\begin{eqnarray}|\,x\,|&=&2\\
x&=&\pm2\end{eqnarray}\)

このように、式の意味さえ考えれば、もはや途中式ナシで答えに辿り着きます。

見ての通り、左辺の絶対値記号を外して右辺に\(\,\pm\,\)をつける、それだけの操作で解くことができました。

実は、これが絶対値を含む方程式の解き方なのです。

絶対値を含む方程式の解き方

左辺の絶対値記号を外して右辺に\(\,\pm\,\)をつける

この解き方は絶対値を含む方程式のあらゆる問題に使えますので、必ず覚えておいてください。

|x+1|=2の解き方

では、問題の難易度をほんの少しだけ上げます。

(問)2 次の方程式を解け。

\(|\,x+1\,|=2\)

最初の問題と比べて絶対値記号の中身が少しイジられていますが、仮にこのような形であってもやり方は同じです。

左辺の絶対値記号を外して右辺に\(\,\pm\,\)をつけるという方法で方程式は解けます。

\(\begin{eqnarray}|\,x+1\,|&=&2\\
x+1&=&\pm2\end{eqnarray}\)

もし、この操作が納得できなければ、絶対値記号の中身\(\,x+1\,\)を\(\,X\,\)とでも置き換えてみればよいでしょう。

\(\begin{eqnarray}|\,x+1\,|&=&2\\
|\,X\,|&=&2\\
X&=&\pm2\\
x+1&=&\pm2\end{eqnarray}\)

あとは左辺の\(\,+1\,\)を移項して「\(\,x=\,\)~」の形にすれば終了です。

\(\begin{eqnarray}x+1&=&\pm2\\
x&=&-1\pm2\\
x&=&1,\ -3\end{eqnarray}\)

ちなみに、\(\pm2\,\)とは「\(\,+2\,\)または\(\,-2\,\)」という意味なので、それぞれを別々に計算して\(\,x=1,\ -3\,\)が方程式の解となりました。

|x+1|=2xの解き方

最後に、少し特殊な問題に触れておきます。

(問)3 次の方程式を解け。

\(|\,x+1\,|=2x\)

見た目はこれまでの問題とほぼ同じですが、実はこの問題にはが仕掛けられているのです。

その罠にハマらないように式の意味を考えます。

そのままの意味ですが、「\(\,x+1\,\)の絶対値は\(\,2x\,\)」ですね。

ここで、絶対値は必ず正の値になるということを思い出さなければなりません。

ということは、\(2x≧0\,\) すなわち、\(x≧0\,\) です。

この条件下で方程式を解いていくことになります。

くどいようですが、絶対値を含む方程式の解き方は左辺の絶対値記号を外して右辺に\(\,\pm\,\)をつけるのでしたね。

\(\begin{eqnarray}|\,x+1\,|&=&2x\\
x+1&=&\pm2x\end{eqnarray}\)

このまま移項して計算するとややこしくなるので、式を分けます。

\(\rm(\,i\,)\) \(x+1=+2x\,\)のとき

\(\begin{eqnarray}x+1&=&2x\\
x&=&1\end{eqnarray}\)

\(x=1\,\)は\(\,x≧0\,\)という条件を満たしているので、これは方程式の解となります。

\(\rm(\,ii\,)\) \(x+1=-2x\,\)のとき

\(\begin{eqnarray}x+1&=&-2x\\
x&=&-\displaystyle\frac{1}{3}\end{eqnarray}\)

\(x=-\displaystyle\frac{1}{3}\,\)は\(\,x≧0\,\)という条件を満たしていないので、これは方程式の解とはなり得ません。

よって、この問題の答えは

\(x=1\)

まとめ

何度も言いますが...

絶対値を含む方程式は左辺の絶対値記号を外して右辺に\(\,\pm\,\)をつければ解けます。

解き方さえ覚えていれば簡単ですね。

しかし、ただ漠然と記憶しているだけでは、時間の経過とともに忘れ去られてしまい、応用もききません。

意味をよく理解した上で解き方を覚えるようにしてください。