平方完成 | やり方を分かりやすく解説【数学I】

この記事では、平方完成について書いています。

平方完成は\(\,2\,\)次方程式を解くためや\(\,2\,\)次関数のグラフを書くために行う操作なのですが、そのような話は一旦棚に上げておき、やり方のみに焦点を当てて記述していきたい思います。

平方完成とは

平方完成とは、\(2\,\)次式を変形して\(\,1\,\)次式の\(\,2\,\)乗の項を作り出すことです。

一般的な形で表すと...

\(ax^{2}+bx+c=a\left(x+\displaystyle\frac{b}{2a}\right)^{2}-\displaystyle\frac{b^{2}-4ac}{4a}\)

このような式変形です。

げッ!!

と思った人もいるかもしれませんが、これは公式のように暗記するものではないので、安心してください。

ここで、この式変形の手順を示しておきます。

といっても、平方完成をまだ習いたてという人ならば、いきなり一般的な形での式変形は少し苦しいと思いますので、この部分は流し読みをしてくれても問題ありません。

  1. \(x^{\,2}\,\)の項と\(\,x\,\)の項を\(\,x^{\,2}\,\)の係数\(\,a\,\)でくくり出す。
     
    \(ax^{2}+bx+c\\[0.5em]
    =a\left(x^{2}+\displaystyle\frac{b}{a}x\right)+c\)
     
  2. \(x\,\)の係数の半分の\(\,2\,\)乗をかっこの中で足し引きする。
    \(x\,\)の係数は\(\,\displaystyle\frac{b}{a}\,\)、その半分は\(\,\displaystyle\frac{b}{2a}\,\)、その\(\,2\,\)乗は\(\,\left(\displaystyle\frac{b}{a}\right)^{2}=\displaystyle\frac{b^{\,2}}{4a^{\,2}}\,\)なので...
     
    \(=a\left(x^{2}+\displaystyle\frac{b}{a}x+\displaystyle\frac{b^{\,2}}{4a^{\,2}}-\displaystyle\frac{b^{\,2}}{4a^{\,2}}\right)+c\)
     
  3. \(\,x^{2}+\displaystyle\frac{b}{a}x+\displaystyle\frac{b^{\,2}}{4a^{\,2}}\,\)の部分を因数分解する。
     
    \(=a\left\{\left(x+\displaystyle\frac{b}{2a}\right)^{2}-\displaystyle\frac{b^{\,2}}{4a^{\,2}}\right\}+c\)
     
  4. \(a\,\)を\(\,\left(x+\displaystyle\frac{b}{2a}\right)^{2}\,\)と\(\,-\displaystyle\frac{b^{\,2}}{4a^{\,2}}\,\)に分配する。
     
    \(=a\left(x+\displaystyle\frac{b}{2a}\right)^{2}-\displaystyle\frac{b^{\,2}}{4a}+c\)
     
  5. \(-\displaystyle\frac{b^{\,2}}{4a}+c\,\)の部分を\(\,4a\,\)で通分する。
     
    \(=a\left(x+\displaystyle\frac{b}{2a}\right)^{2}-\displaystyle\frac{b^{\,2}-4ac}{4a}\)

以上より

\(ax^{2}+bx+c=a\left(x+\displaystyle\frac{b}{2a}\right)^{2}-\displaystyle\frac{b^{2}-4ac}{4a}\)

が示されました。

ただし、大切なのは計算結果よりもむしろ計算過程です。

平方完成のやり方

もう一度、平方完成の一般的な形を示します。

\(ax^{2}+bx+c=a\left(x+\color{red}{\displaystyle\frac{b}{2a}}\right)^{2}\color{blue}{-\displaystyle\frac{b^{\,2}-4ac}{4a}}\)

これから行う変形を見やすくするために色付けをしておきました。

そして、の部分との部分がどのような数かというと...

  • :\(x\,\)の係数を\(\,a\,\)で割って、半分にした数
     
  • を\(\,2\,\)乗して、\(a\,\)倍して、マイナスをつけて、定数項を足した数

これは\(\,\displaystyle\frac{b}{2a}\,\)と\(\,-\displaystyle\frac{b^{2}-4ac}{4a}\,\)それぞれを言語化したものに過ぎません。

もしかすると、これを「ややこしい」と感じる人もいるかもしれませんが、途中式を丁寧に書いて平方完成を行うよりは幾分かマシであると担当者は確信しています。

つまり、の部分との部分にどのような数を配置すればよいかを暗記していれば、平方完成は途中式ナシでできるということです。

練習問題

それでは、上記のことを練習問題を通して確認していきましょう。

(問) 次の式を平方完成せよ。

(1) \(x^{2}-6x\)

(2) \(-2x^{2}+4x+3\)

(3) \(2x^{2}+6x-1\)

これらの問いを平方完成に熟達している人の思考で解いていきます。

様々なことを頭の中で処理しなければなりませんが、行うべき思考をできる限り文字に起こしましたので、頑張ってついて来てください。

便宜上、以下では

\(ax^{2}+bx+c=a(x+\)\()^{2}\)\(+\)

として解説しています。

(1) \(x^{2}-6x\)

\(a\,\)に配置する数は\(\,x^{\,2}\,\)の係数\(\,1\,\)と同じです。

\(x^{2}-6x=(x\ \cdots\)

に配置する数は\(\,x\,\)の係数を\(\,a\,\)で割って、半分にした数です。

  • \(\,x\,\)の係数\(\,-6\,\)を\(\,a\,\)に配置した\(\,1\,\)で割って
    \(\,1\,\)で割る → スキップ
  • 半分にして
    \(-6\div2=-3\,\)

この\(\,-3\,\)をに配置します。

\(x^{2}-6x=\left(x\color{red}{-3}\right)^{2}\ \cdots\)

に配置する数はを\(\,2\,\)乗して、\(a\,\)倍して、マイナスをつけて、定数項を合わせた数です。

  • に配置した\(\,-3\,\)を\(\,2\,\)乗して
    \(\left(-3\right)^{\,2}=9\)
  • \(a\,\)に配置した\(\,1\,\)を掛けて
    \(\,1\,\)倍 → スキップ
  • マイナスをつけて
    \(-9\)
  • 定数項の\(\,0\,\)を足して
    \(0\,\)を足す → スキップ

この\(\,-9\,\)をに配置します。

\(x^{2}-6x=\left(x\color{red}{-3}\right)^{2}\color{blue}{-9}\)

はい、できました。

この問題は不必要な操作を行う場面が数ヶ所ありましたが、そんなときは手順を「スキップ」すればよいだけです。

(2) \(-2x^{2}+4x+3\)

\(a\,\)に配置する数は\(\,x^{\,2}\,\)の係数\(\,-2\,\)と同じです。

\(-2x^{2}+4x+3=-2\,(x\ \cdots\)

に配置する数は\(\,x\,\)の係数を\(\,a\,\)で割って、半分にした数です。

  • \(\,x\,\)の係数\(\,4\,\)を\(\,a\,\)に配置した\(\,-2\,\)で割って
    \(4\div\left(-2\right)=-2\)
  • 半分にして
    \(-2\div2=-1\,\)

この\(\,-1\,\)をに配置します。

\(-2x^{2}+4x+3=-2\,\left(x\color{red}{-1}\right)^{2}\ \cdots\)

に配置する数はを\(\,2\,\)乗して、\(a\,\)倍して、マイナスをつけて、定数項を合わせた数です。

  • に配置した\(\,-1\,\)を\(\,2\,\)乗して
    \(\left(-1\right)^{\,2}=1\)
  • \(a\,\)に配置した\(\,-2\,\)を掛けて
    \(1\times\left(-2\right)=-2\)
  • マイナスをつけて
    \(-\left(-2\right)=2\,\)
  • 定数項の\(\,3\,\)を足して
    \(2+3=5\)

この\(\,5\,\)をに配置します。

\(-2x^{2}+4x+3=-2\,\left(x\color{red}{-1}\right)^{2}+\color{blue}{5}\)

はい、できました。

この問題はすべての手順が必要であり、「スキップ」できるものはありません。

(3) \(2x^{2}+6x-1\)

まず、\(a\,\)に配置する数は\(\,x^{\,2}\,\)の係数\(\,2\,\)と同じです。

\(2x^{2}+6x-1=2\,(x\ \cdots\)

に配置する数は\(\,x\,\)の係数を\(\,a\,\)で割って、半分にした数です。

  • \(\,x\,\)の係数\(\,6\,\)を\(\,a\,\)に配置した\(\,2\,\)で割って
    \(6\div 2=3\)
  • 半分にして
    \(3\div2=\displaystyle\frac{3}{2}\,\)

この\(\,\displaystyle\frac{3}{2}\,\)をに配置します。

\(2x^{2}+6x-1=-2\,\left(x+\color{red}{\displaystyle\frac{3}{2}}\right)^{2}\ \cdots\)

に配置する数はを\(\,2\,\)乗して、\(a\,\)倍して、マイナスをつけて、定数項を合わせた数です。

  • に配置した\(\,\displaystyle\frac{3}{2}\,\)を\(\,2\,\)乗して
    \(\left(\displaystyle\frac{3}{2}\right)^{\,2}=\displaystyle\frac{9}{4}\)
  • \(a\,\)に配置した\(\,2\,\)を掛けて
    \(\displaystyle\frac{9}{4}\times 2=\displaystyle\frac{9}{2}\)
  • マイナスをつけて
    \(-\displaystyle\frac{9}{2}\,\)
  • 定数項の\(\,-1\,\)を足して
    \(-\displaystyle\frac{9}{2}-1=-\displaystyle\frac{11}{2}\)

この\(\,-\displaystyle\frac{11}{2}\,\)をに配置します。

\(2x^{2}+6x-1=2\,\left(x+\color{red}{\displaystyle\frac{3}{2}}\right)^{2}\color{blue}{-\displaystyle\frac{11}{2}}\)

はい、できました。

この問題は分数が出現して計算が煩雑になりますが、(2)とまったく同じ手順を踏んでいるだけです。

以上、どこまでの処理を頭の中でできるかは個人差があると思いますが、この程度の平方完成ならば、3問とも途中式ナシの暗算で行えるようになることが目標です。

まとめ

\(ax^{2}+bx+c=a\left(x+\displaystyle\frac{b}{2a}\right)^{2}-\displaystyle\frac{b^{2}-4ac}{4a}\)

平方完成はややこしい操作です。

しかし、今後の数学人生においてイヤというほど行わなければなりません。

この記事で手順をよく理解した上で、日々鍛練を積んでください。