絶対値記号の外し方 | もっとも基本的な方法【数学I】

この記事では、絶対値記号の外し方について書いています。

目次

中学数学の復習

まずは、中学数学の復習をしておきます。

中学数学において

絶対値とは、数直線上における原点\(\,{\rm \small O}\,\)との距離と学習したはずです。

つまり、ある数が原点\(\,{\rm \small O}\,\)からいくら離れているかを表しています。

たとえば、\(2\,\)(\(\,+2\,\))について

\(2\,\)は原点\(\,{\rm \small O}\,\)からの右側に\(\,2\,\)だけ離れています。

すなわち、\(2\,\)の原点\(\,{\rm \small O}\,\)からの距離は\(\,2\,\)です。

よって、\(2\,\)の絶対値は\(\,2\)

逆に、\(-2\,\)について

\(-2\,\)は原点\(\,{\rm \small O}\,\)からの左側に\(\,2\,\)だけ離れています。

つまり、\(-2\,\)の原点\(\,{\rm \small O}\,\)からの距離も\(\,2\,\)です。

よって、\(-2\,\)の絶対値は\(\,2\)

話をまとめると...

  • 絶対値が\(\,2\,\)になる数は\(\,+2\,\)と\(\,-2\,\)
  • \(\,+2\,\)と\(\,-2\,\)の絶対値は\(\,2\)

つまるところ、中学数学において絶対値を問われたときは正負の符号を取り払えばよいと考えて問題ありません。

復習は以上です。

それでは、高校数学の話に移ります。

絶対値の定義

高校数学では、絶対値は以下のように定義されます。

数直線上で、座標が\(\,a\,\)である点\(\,{\rm \small P}\,\)を\(\,{\rm \small P}(a)\)と表すとき、

原点\(\,{\rm \small O}(0)\,\)と\(\,{\rm \small P}(a)\,\)との距離を\(\,a\,\)の絶対値といい、\(|\,a\,|\,\)で表す。

定義の前半部分は中学数学の内容を小難しく言っているだけですが、\(|\,a\,|\,\)という表記が新たに導入されました。

\(a\,\)を囲む縦の棒こそが絶対値記号と呼ばれるものであり、\(|\,a\,|\,\)と表して「\(\,a\,\)の絶対値」または「絶対値\(\,a\,\)」と読みます。

具体的な数字で考えてみると...

\(2\,\)の絶対値は\(\,2\,\)
\(-2\,\)の絶対値は\(\,2\,\)

これを数式では...

\(|\,2\,|=2\)
\(|-2\,|=2\)

このように表します。

ちなみに、絶対値は距離である以上、必ず正の値になります。

距離が\(\,2\,\)というのは納得できても、距離が\(\,-2\,\)というのは明らかにおかしいですよね。

なんだ、簡単じゃねぇか!!

そう感じた人もいるかもしれませんが、難しくなるのはここからです。

絶対値記号の外し方

上の例に挙げた\(\,2\,\)や\(\,-2\,\)のように絶対値記号の中身が具体的な数字であれば、正負の符号を取り払うだけで絶対値記号を外すことができました。

あくまでも中学数学と同じ操作なので、こんなものは難しくも何ともありません。

ややこしいのは絶対値記号の中身が文字式のときです。

もっともシンプルな例を考えます。

\(|\,x\,|=x\) \(\cdots\,?\)

\(|\,2\,|\,\)と同じように絶対値記号を外してみましたが、結論から言うと、これは間違いです。

そもそも、\(x\,\)は文字である以上、正か負かどちらになるかは勝手に判断することができません。

もし、\(x\,\)が正の数(たとえば、\(x=2\,\))ならば...

\(|\,x\,|=x\) \(\Rightarrow\) \(|\,2\,|=2\) \(\cdots\,○\)

これは当然成り立ちます。

しかし、\(x\,\)が負の数(たとえば、\(x=-2\,\))ならば...

\(|\,x\,|=x\) \(\Rightarrow\) \(|-2\,|=-2\) \(\cdots\,×\)

絶対値は必ず正の値になるというルールに反することになり、これは成り立ちません。

では、どうすればよいのか?

絶対値記号の外し方の基本は絶対値記号の中身の正負で場合分けです。

絶対値記号の中身がのとき

このときは上の例で見たように絶対値記号はそのまま外して構いません。

\(|\,2\,|=2\)

また、\(0\,\)の絶対値も\(\,0\,\)なので、絶対値記号の中身が\(\,0\,\)のときも絶対値記号はそのまま外すことができます。

\(|\,0\,|=0\)

この話をまとめると...

絶対値記号の中身が(\(\,\color{blue}{0}\,\)以上)のとき、絶対値記号はそのまま外す

よって...

\(x≧0\,\)のとき \(|\,x\,|=x\)

絶対値記号の中身がのとき

このときは絶対値記号をそのまま外すとエラーが起こります。

そのまま外すのではなく、マイナスをプラスにして外す。

そんなモチベーションで絶対値記号を外さなければなりません。

そのためには、前にマイナスをつけて、マイナス同士相殺して、プラスにするということを行う必要があります。

たとえば、\(-2\,\)の前に\(\,-\,\)をつけると\(\,2\,\)(\(\,+2\,\))になります。

\(-(-2)=2\)

絶対値記号の中身が負のときはこれと同じことを行って絶対値記号を外します。

\(|-2\,|=-(-2)=2\)

つまり...

絶対値記号の中身がのとき、絶対値記号はマイナスをつけて外す

よって...

\(x<0\,\)のとき \(|\,x\,|=-x\)

以上が絶対値記号の外し方です。

この記事でもっとも大事なところなので、よく理解しておいてくださいね。

練習問題

それでは、最後に練習問題を解いておきましょう。

(問) 次の式の絶対値記号を外せ。

(1) \(|\,x-1\,|\)  (2) \(|\,1-x\,|\)

絶対値記号の中身が文字式のとき、絶対値記号は中身の正負で場合分けをして外すのでした。

このことは(1)・(2)どちらを解く上でも変わりません。

(1) \(|\,x-1\,|\)

・ 絶対値記号の中身が(\(\,\color{blue}{0}\,\)以上)のとき

中身が\(\,0\,\)以上、すなわち、\(x-1≧0\,\)という不等式を解いて...

\(\begin{eqnarray}x-1&≧&0\\
x&≧&1\end{eqnarray}\)

\(x≧1\,\)のとき です。

このとき、絶対値記号はそのまま外すので...

\(|\,x-1\,|=x-1\)

・ 絶対値記号の中身がのとき

中身が\(\,0\,\)未満、すなわち、\(x-1<0\,\)という不等式を解いて...

\(\begin{eqnarray}x-1&<&0\\
x&<&1\end{eqnarray}\)

\(x<1\,\)のとき です。

このとき、絶対値記号はマイナスをつけて外すので...

\(|\,x-1\,|=-(x-1)=-x+1\)

よって、答えは両方の場合を合わせて...

\(|\,x-1\,|=\left\{ \begin{array}{1}
x-1 & (x≧1\,{\bf のとき})\\-x+1 & (x<1\,{\bf のとき})\end{array} \right.\)

(2) \(|\,1-x\,|\)

・ 絶対値記号の中身が(\(\,\color{blue}{0}\,\)以上)のとき

中身が\(\,0\,\)以上、すなわち、\(1-x≧0\,\)という不等式を解いて...

\(\begin{eqnarray}1-x&≧&0\\
-x&≧&-1\\
x&≦&1\end{eqnarray}\)

\(x≦1\,\)のとき です。

このとき、絶対値記号はそのまま外すので...

\(|\,1-x\,|=1-x\)

・ 絶対値記号の中身がのとき

中身が\(\,0\,\)未満、すなわち、\(1-x<0\,\)という不等式を解いて...

\(\begin{eqnarray}1-x&<&0\\
-x&<&-1\\
x&>&1\end{eqnarray}\)

\(x>1\,\)のとき です。

このとき、絶対値記号はマイナスをつけて外すので...

\(|\,1-x\,|=-(1-x)=-1+x\)

よって、答えは両方の場合を合わせて...

\(|\,1-x\,|=\left\{ \begin{array}{1}
1-x & (x≦1\,{\bf のとき})\\-1+x & (x>1\,{\bf のとき})\end{array} \right.\)

絶対値記号の外し方、わかってもらえましたか?

まとめ

絶対値記号は絶対値記号の中身の正負で場合分けをして外します。

\(|\,x\,|=\left\{ \begin{array}{1}
x & (x≧0\,{\bf のとき})\\-x & (x<0\,{\bf のとき})\end{array} \right.\)

この外し方は絶対値が絡むあらゆる問題に使える方法です。

しっかりと押さえておいてください。