この記事では、平方根の定義について書いています。
平方根は中学数学でも扱いますが、定義を正しく理解できていない人が意外と多いです。
高校生の皆様もここで一度立ち止まって目を通してみてください。
はじめに
定義を確認すると...
平方根は「\(\,2\,\)乗の逆」とよく説明されます。
たしかに、\(2\,\)乗は同じ数を\(\,2\,\)回掛けるだけの単純な操作ですが、突然「その逆を行え」と言われても頭の中が混乱してしまいます。
以下では、その混乱を解消してもらうために...
- \(2\,\)乗して\(\,4\,\)になる数
- \(2\,\)乗して\(\,5\,\)になる数
この\(\,2\,\)つの数にスポットを当てて、分かりやすく説明していきます。
2乗して4になる数
と聞かれると、平方根をまったく知らなかったとしても、ほとんどの人が「\(\,2\,\)」と答えることができます。
もちろん、これは間違いではありません。
\(2^{\,2}=2\times2=4\)
たしかに、\(2\,\)は\(\,2\,\)乗すると\(\,4\,\)になります。
しかし、\(2\,\)だけではすべてを答えたことにはなりません。
\(2\,\)乗して\(\,4\,\)になる数は、もう\(\,1\,\)つあります。
それは負の数\(\,-2\,\)です。
\((-2)^{2}=(-2)\times(-2)=4\)
マイナスは\(\,2\,\)乗するとプラスになるので、\(\,-2\,\)も\(\,2\,\)乗すると\(\,4\,\)になります。
つまり、\(2\,\)乗して\(\,4\,\)になる数を聞かれたときは、「\(\,2\,\)と\(\,-2\,\)」と答えなければなりません。
ここで、平方根の定義に戻ります。
ならば...
ということになります。
上で見たように、\(2\,\)乗して\(\,4\,\)になる数は\(\,2\,\)と\(\,-2\,\)です。
これを通例\(\,\pm2\,\)(プラスマイナス\(\,2\,\))と表記します。
よって、\(4\,\)の平方根とは、\(\pm2\,\)です。
2乗して5になる数
と聞かれると、平方根の概念を知らなれば、答えることができません。
もしかすると、この問いに「\(\,2.5\,\)」と答える人がいるかもしれませんが、それは間違いです。
\(2.5^{\,2}=2.5\times2.5=6.25\)
\(2.5\,\)は\(\,2\,\)倍すると\(\,5\,\)になりますが、\(2\,\)乗すると\(\,6.25\,\)になります。
したがって、\(2\,\)乗して\(\,5\,\)になる数は\(\,2.5\,\)ではありません。
では、\(2\,\)乗して\(\,5\,\)になる数とは一体何か?
こうして生まれたのが、\(\sqrt{5}\,\)(ルート\(\,5\,\))です。
\(\sqrt{5}\,\)は次の式を成り立たせます。
\((\sqrt{5})^{2}=\sqrt{5}\times\sqrt{5}=5\)
厳密に言うと、\(\sqrt{5}\,\)は\(\,2\,\)乗して\(\,5\,\)になる正の数です。
もちろん、\(2\,\)乗して\(\,5\,\)になる数にも負の数は存在します。
それが\(-\sqrt{5}\,\)です。
\((-\sqrt{5})^{2}=(-\sqrt{5})\times(-\sqrt{5})=5\)
つまり、\(2\,\)乗して\(\,5\,\)になる数は\(\,\sqrt{5}\,\)と\(\,-\sqrt{5}\,\)です。
これも通例\(\,\pm\sqrt{5}\,\)と表記します。
よって、\(5\,\)の平方根とは、\(\pm\sqrt{5}\,\)です。
念のため、\(\sqrt{ }\)(根号)に関する定義も確認しておきます。
基本問題
それでは、ここまで書いたことを以下の基本問題を通して確認していきます。
(1) \(25\) (2) \(7\)
(問)2 次の数を根号を用いずに表せ。
(3) \(\sqrt{4}\) (4) \(-\sqrt{16}\)
(1) \(25\,\)の平方根
\(25\,\)の平方根とは、\(2\,\)乗して\(\,25\,\)になる数 でしたね。
\(2\,\)乗して\(\,25\,\)になる数は、正の数\(\,5\,\)と負の数\(\,-5\,\)です。
よって、答えは \(\pm5\)
補足になりますが、このタイプの問題を解くには、整数を\(\,2\,\)乗してできる数(平方数)をある程度記憶しておかなければなりません。
以下に平方数をまとめておきます。
1^{\,2}&=&1 ~~~ & ~~~ 11^{\,2}&=&121\\
2^{\,2}&=&4 ~~~ & ~~~ 12^{\,2}&=&144\\
3^{\,2}&=&9 ~~~ & ~~~ 13^{\,2}&=&169\\
4^{\,2}&=&16 ~~~ & ~~~ 14^{\,2}&=&196\\
5^{\,2}&=&25 ~~~ & ~~~ 15^{\,2}&=&225\\
6^{\,2}&=&36 ~~~ & ~~~ 16^{\,2}&=&256\\
7^{\,2}&=&49 ~~~ & ~~~ 17^{\,2}&=&289\\
8^{\,2}&=&64 ~~~ & ~~~ 18^{\,2}&=&324\\
9^{\,2}&=&81 ~~~ & ~~~ 19^{\,2}&=&361\end{eqnarray}\)
(2) \(7\,\)の平方根
\(7\,\)の平方根とは、\(2\,\)乗して\(\,7\,\)になる数 でしたね。
\(2\,\)乗して\(\,7\,\)になる数は、正の数\(\,\sqrt{7}\,\)と負の数\(\,-\sqrt{7}\,\)です。
よって、答えは \(\pm\sqrt{7}\)
(3) \(\sqrt{4}\)
\(\sqrt{4}\,\)とは、\(2\,\)乗して\(\,4\,\)になる正の数 でしたね。
よって、答えは \(2\) ※ \(\pm2\)と答えると間違いです。
(4) \(-\sqrt{16}\)
\(-\sqrt{16}\,\)とは、\(2\,\)乗して\(\,16\,\)になる負の数 でしたね。
よって、答えは \(-4\)
なお、(3)や(4)の問題のように、根号を用いずに表せる数は根号を用いないのが原則です。
まとめ
\(\,a\,\)の平方根とは、\(2\,\)乗して\(\,a\,\)になる
\(\sqrt{a}\,\)とは、\(2\,\)乗して\(\,a\,\)になる正の数
\(-\sqrt{a}\,\)とは、\(2\,\)乗して\(\,a\,\)になる負の数
以上が平方根の定義です。
意味を正しく理解しておいてください。